第30回 YOASOBIの楽曲「アイドル」の歌詞と採用面接
アニメ「推しの子」のオープニングテーマ曲「アイドル」(作詞・作曲:Ayaseさん)を聴いていて、就労支援相談員としての感覚にビビッと響く部分がありました。
(ちなみに、本コラムの内容とは全く関係ありませんが、「推しの子」の原作者赤坂アカさんは新潟県のご出身です。)
今日何食べた?
好きな本は?
遊びに行くならどこに行くの?
何も食べてない
それは内緒
何を聞かれてものらりくらり
この部分が、日々みなさんの就労や転職活動を応援する立場からすると、非常に優秀な啓蒙ソングに聴こえたのです。
これはおそらくアイドルがメディアのインタビューを受けるシーンとして書かれた歌詞でしょう。
もしも、これが面接のシーンだったら…と想定すると、ビビッと来るポイントが二つあります。
Point1 採用側が採用面接で質問しないほうがよい項目が含まれている
面接に来た方へ、緊張をゆるめてもらうための雑談として、
「今日はお昼を食べてこられましたか?何を召し上がりました?」
くらいは、あってもいいかな…と思えます。
しかし、
「好きな本は?」
「遊びに行くならどこに行くの?」
これは要注意です。
厚生労働省の提唱する「公正な採用選考の基本」において、適性と能力に関係がない事項を質問して把握することは、就職差別に繋がる恐れがあるとされています。
「適性と能力に関係がない事項」の一つとして、「思想信条に関わること」が挙げられていて、これには、愛読書や購読新聞に関することが含まれています。
「遊びに行く場所」も完全にプライベートな質問です。たとえば、ディズニーランドに行くか、サンリオ・ピューロランドに行くかは、仕事の遂行能力には関係ない可能性が高いですよね。
歌の中では
「それは内緒」
と答えていますね。
面接の場で「内緒❤」という言葉遣いはふさわしくないので、もし聞かれてしまったら、次のように答えるとよいでしょう。
「就労相談窓口で、愛読書などについては答えないようにと言われました」
「おそれいりますが、ご質問の意図がわかりかねるのですが…」
「すみませんが、お仕事の〇〇に関係のある内容と思っていいですか?」
Point2 答えなくてよい質問には答えていない
「何を聞かれてものらりくらり」
とかわすのも、公正な採用選考の基準に照らして、正しい姿勢といえます。
「それはお答えできません」
とキッパリ断ることも、ときには必要ですが、実際には角を立てないでその場を終わらせたいことのほうが多いですよね。
上でも触れましたが、強く拒絶せずやんわりかわすには、他の理由をあげる方がかんたんです。
「就労相談窓口で」の他にも、
なども言いやすいのではないでしょうか。
また、思想や信条に関わることでなくても、「これは仕事に関係あるの?」と心配になるような質問があった場合は、無理に正直に答えなくてもかまいません。
たとえば、
「〇〇中学校だったら、〇〇さんを知っている?」
「制服のサイズ選定に必要だから、身長体重とスリーサイズを教えてもらえますか?」
など業務と関係ないのではないかな…と思われる質問には、
「ちょっとわからないです、すみません」
「今すぐにはわからないので、あとで改めてお答えしていいでしょうか?」
という対応でOKです。
ちなみに、業務上必要(特殊なユニフォームを着る必要がある等)なさそうなのに、上のようにスリーサイズを聞かれた場合は、セクハラに該当する可能性が高いです。
必ずハローワークへ連絡してください。
その他にも、業務に関係はありそうだが、本当に答えがわからない、答えてよいものか迷う、うまく言葉にならないなどの場合は、正直にその旨を伝えても大丈夫です。
あわてていい加減な返答をするよりも、落ち着いて正直に
「すみません、わかりません」
と答えたほうが印象がよいでしょう。
「こういうときはどうしたら…」
「こんな質問をされたんだけど、これは答えていいの…?」
など個別のご相談は、ぜひワークサポート三条へお寄せください。
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