第52回 「一身上の都合により退社」の「一身上の都合」とは、どこからどこまで?

今までの仕事を辞めて転職活動をする方が、履歴書の職歴欄の最後に書く「退社(退職)理由」。

「会社都合による退社」と「一身上の都合(自己都合)による退社」のどちらかを書くことになりますが、やはり後者の「一身上の都合」のケースが多いでしょう。

※ちなみに、株式会社・有限会社などの会社組織にいたときは「入社・退社」、それ以外の団体(例:医療法人、社会福祉法人など)にいたときは「入職・退職」と書くのが一般的です。
県庁や市役所などで「入庁・退庁」、銀行では「入行・退行」を使うこともありますが、あまり一般的な単語ではないため、会社以外はおおむね「入職・退職」を使ってよいでしょう。

そもそも、「一身上の都合」とは、どういう内容を指すのでしょうか。

この答えは実に単純で、

「会社都合、定年退職、有期雇用契約終了以外、ほぼ全部」です。

◇会社都合の例

  • 勤務先が倒産・業績悪化・業務縮小・業務転換のため、退職させられた。または、そのために勤務継続が難しくなって、辞めざるを得なくなった。
  • 自分の行動が勤務先の規則に触れてしまい、退職させられた。

→「会社都合により退社」と記入する。


◇定年退職した場合の例

  • 無期の雇用契約(いわゆる正社員など)だったが、定年退職した。

→「定年により退職」または「定年退職」と記入する。


◇有期雇用契約終了の例

  • 派遣社員・契約社員・アルバイト等で、勤務期間があらかじめ決まっており、その期間が経過したので退社した。

→「契約期間満了のため退社」等と記入する。

上記に当てはまらないケースは、一般的に、「一身上の都合」と記入します。

※履歴書の職歴欄には、「帰郷のため」「結婚に伴う転居のため」など、退職理由の詳細を書いてもOKです。
ただし、転職回数が多い場合など、文字数が増えて見づらくなったり、注目してほしくない退社理由のところが逆に目立ってしまったりする可能性があることに注意してください。

さて、一身上の都合で退社した人たちの、実際の退社理由は、どのようなものが多いのでしょうか。

厚生労働省が実施した「令和2年転職者実態調査の概況」には、自己都合による退職をした人の離職理由(1名が3つまで選択可)の項目があります。

多いほうからランキングすると、

1 労働条件(賃金以外)がよくなかったから 28.2%
2 満足のいく仕事内容でなかったから 26.0%
3 賃金が低かったから 23.8%
4 会社の将来に不安を感じたから 23.3%
5 人間関係がうまくいかなかったから 23.0%
6 ほかによい仕事があったから 16.0%
7 いろいろな会社で経験を積みたいから 15.9%
8 能力・実績が正当に評価されないから 15.3%
9 安全や衛生等の職場環境がよくなかったから 10.2%
10 雇用が不安定だったため 8.3%
11 結婚・出産・育児のため 6.2%
12 病気・怪我のため 4.0%
13 介護・看護のため 2.7%
14 家族の転勤・転居のため 2.2%
その他

となっています。

これだけいろいろな事情が同じ「一身上の都合」にくくられるのは、考えてみれば、ずいぶんざっくりしたまとめ方ですよね!
履歴書の書き方やフォーマットは、時代とともに少しずつ変化しているので、退社理由の書き方もそのうちに変わっていくのかもしれません。
令和6年現在は、まだ、これらをひとまとめに「一身上の都合」とするのが主流ですので、どれかに当てはまっていたら、深く悩む必要はないです。サラっと決まり文句「一身上の都合」を書いてしまいましょう!

「確かに一身上の都合になっちゃうんだけど、これにはわけがあって、ぜひそのあたりを誤解せずに知ってほしい!!」
というような事情がある方は、履歴書ではなく、職務経歴書に退社にいたった理由を書く作戦が使えます。
職務経歴書は、記載事項の自由度が高いので、「ここは詳しく知ってほしい」「ぜひこの部分について説明させてほしい」という内容を自在に書き込むことができるのです。

書き方の例:
退社の経緯…〇〇職としてやりがいをもって勤務しておりましたが、やりこむほどに△△の業務に興味を持つようになりました。社内にはそのポジションがないため、転職を考えるようになりました。上司は何度も面談に応じてくれ、慰留してくださいましたが、新天地で△△職として取り組みたい思いが強く、転職を決意いたしました。

ただし、退職のエピソードはデリケート。
自分では「こういういたしかたない事情だったんだ!」と思っていても、他人から見ると「別にいたしかたないというほどでもないね…」と思われる可能性があります。詳しく書くことでかえって印象が下がる危険性も…。
採用側もとても気にする部分ですので、どんなことを、どこまで書くか?どのように書くか?もしくは書かないほうがいいのか?の判断には、できれば、第三者の意見を聞いておくと安心です。

私たちワークサポート三条にご相談いただければ、プロの目で、書くべき要素・削るべき記載を見極めてアドバイスいたします!どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。

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