第55回 「年収の壁」をわかりやすく解説します!
パートやアルバイトで働く人には気になる「年収の壁」
令和7年度には、社会保険の加入条件(いわゆる「106万円の壁」)が変更になる見込みとの報道があり、気になっている方も多いのではないでしょうか。
制度変更の前に、「〇〇万円の壁」と呼ばれているものの内容について、わかりやすい解説をお送りします。
※2024年12月現在の情報です。制度の変更により内容が変わりますのでご注意ください!
「壁」の性質 3種類
「壁」とはざっくり言うと「年収が〇〇万円になるとそこから差し引かれることになるお金が発生する」ということです。
出典:厚生労働省「年収の壁について知ろう」
差し引かれる又は支給されない可能性があるお金の内訳は、
①税金
②社会保険料
③配偶者手当
の3点です。
このうち、①と②は、働いた本人のお給料から天引き(支給時にあらかじめ差し引かれていること)されます。③は、配偶者や親など、その世帯の主な収入を得ている給与労働者(扶養者)の収入に影響します。
(主な収入を得ている人の収入に関わる税制「配偶者控除」「配偶者特別控除」もあるのですが、後述の表で解説します。)
「壁」の金額 一覧表
103万円の壁、130万円の壁など、いろいろな情報があってややこしいですよね。
金額ごとに、本人と扶養者(世帯の主な収入者)に何が起こるのか、一覧表にしてみました。
年収(額面) |
本人の収入に対して |
世帯の主な収入者に対して |
93万円 ~100万円 |
・住民税の一部or全部が課税される | |
103万円~ | ・超えた分に所得税がかかる (超えた金額×5%) |
・勤務先の規定によっては、配偶者手当が支給されなくなる ・所得税の配偶者控除が受けられなくなり、配偶者特別控除に切り替わる(本人の収入が増えると、段階的に控除金額が下がる) |
106万円~ | ・一定の条件に合致すると、社会保険(健康保険、厚生年金、介護保険)料を会社と折半で負担する | |
130万円~ | ・106万円を超えたときに対象にならなかった人も、社会保険料を会社と折半で負担する | ・勤務先の規定によっては、配偶者手当が支給されなくなる |
150万円~ | ・所得税の配偶者特別控除額が段階的に下がる |
社会保険料について 補足
106万円~にある「一定の条件」とは、
・週20時間以上働く
・月収88,000円以上(残業代なども含む)
・2か月以上働く見込みがある
・従業員数51人以上の事業所で働いている
・学生ではない
の5点です。
高校生や大学生のアルバイトは、基本的に、社会保険の加入対象になりません。専門学校等は、学校の事務に問い合わせてみるのが無難でしょう。
ただし、休学中や、定時制・通信制に通っている場合は、学生でも加入することになります。
収入が130万円を超えたら、学生も、50人以下の事業所に勤めている人も、社会保険に加入します。
フルタイムパートの方で、年間20万円近い保険料になることもあり、手取りにかなり大きく影響します。ここを気にする方が多いのではないでしょうか。
ただ、職場の健康保険や厚生年金への加入には大きなメリット(詳しくは厚生労働省「社会保険加入のメリット」pdf)もありますので、なるべく広い視点で考えるようにするとよいでしょう。
配偶者手当について 補足
公共の給付金ではなく、企業や団体が独自に設定している手当金です。家族手当、扶養手当という名前で支給されていることもあります。
令和5年の調査では、約42%の企業で扶養家族の収入が103万円未満を支給対象としており、約35%が130万円未満としています。
月当たり1万~1万5千円(子どもは1人あたり3千~5千円)が相場だそうですので、年間で12万円以上の差が出ることになります。税金等が発生する金額よりかなりまとまった額になりますので、主な収入者の勤務先の規定や給与明細書をぜひチェックしてみてください。
なお、近年の動向として、配偶者手当自体を廃止する企業や団体も増えているそうです。既に半数近くの企業で廃止しているとのデータがあります。配偶者手当を廃止した企業では、その削減分を、基本給に組み込む・子ども手当を増額するなど、従業員の不利益を最小限にするよう工夫することが推奨されています。
結局どう働くのが得?
結論として、「その人の目的による」ということになります。
たとえば、万一ケガなどで休まなくてはいけなくなった際に、金銭的な補償がないと生活が成り立たないという方や、老後の収入を増やしておくことが目的の方は、目先の手取りが減っても、社会保険に加入しておいた方が得といえます。
今、自分の事情が許すめいっぱいまで働いていて、社会保険加入か否かの瀬戸際であり、手取りを減らしてまで加入するのは嫌という方は、出勤日数や勤務時間を調整して、週20時間以下におさえることになるかもしれません。
これらは単純にひとつの要素で決まるものではないと思います。ご自分の希望がなるべく実現できる形をめざして、家族や職場と相談して決定してください。
「私の場合はどうなるの?」「もっとわかりやすく〇〇の説明をして!」という場合はぜひワークサポート三条の個別相談をご利用ください。
ご予約は下記までどうぞ!当日予約も空きがあればお受けできます。「試しに空きがあるか聞くだけ聞いてみるか」くらいのお気持ちでもOK!とってもお気軽にお問い合わせください!
おしごと探しのなやみごと、なんでも無料相談窓口
開設時間 月~金(祝日、12月29日~1月3日を除く)10:00~18:00
予約がなくてもご利用いただけますが、お待ちいただく場合があります。
来所前にお電話で空き状況を確認することをおすすめいたします。